株式会社A社
本社|中国地方
設立|1980年代
社員|1000名以上
業種|情報通信
事業|ソリューションサービス 他
中国地方に本社を置く、株式会社A社。1980年代の創業以来、中国エリア(広島、岡山、山口、島根、鳥取)で情報通信サービスを展開。通信ネットワークやシステムコンサルティングを手がけ、近年はDXコンサルティングにも注力しています。社員数は1000名以上に上ります。
同社は2021年から社内DXも注力。社員による業務改善やDXを推奨し、ノーコードツールなども導入してきました。社内DXの理解度は80%を超えるものの、参加意欲は年々低下。「社員の適性に応じたプロジェクト配置が必要なのでは」という仮説のもと、2024年11月、エン・ジャパンの適性検査と研修サービスをご導入いただきました。
エン・ジャパンの適性検査「Talent Analytics」
今回、「Talent Analytics」とDX研修の導入部署であるDX部門の永田様(部長)と中田様にお話をうかがいしました。現在(2025年3月インタビュー時点)では、「社員の特性」を確認することが組織の共通言語になっているそう。「管理職とメンバーが科学的データに基づいて、建設的に議論できています」と語ってくださいました。
「壁に直面していました」と中田様。「2021年から社内DXに取り組み、ノーコードツールや生成AIを導入。勉強会や社内コミュニティを進めてきました。毎年のアンケートで社内DXの理解度は年々上がり80%を超えました。一方、社内DXの参加意欲は低下傾向で、矛盾する結果になっていたのです」。
同社は以前「働き方改革」を推進し、オフィス環境を変革することで従業員のマインドが変化する成功体験がありました。「環境を整えればマインドが醸成される。そう考えたのですが、社内DXは違いました」と永田様。
「DXは業務変革であり、関係各所と調整が必要です。管理職の理解も必要ですし、そもそも交渉・調整が苦手なメンバーがDX担当に専任されているケースもあったのです」と語ってくださいました。「デジタル」ではなく、「人材面」での打ち手が必要とお考えだったのです。
「ビッグデータと研修です」と中田様。「2024年5月のDXイベントでエン・ジャパンの高橋さんの講演を聞きました。適性検査をDX人材の発掘に活用し、得意・不得意に応じてミッションを任せている。私たちの課題とフィットすると感じました」。
商談で『Talent Analytics』の説明を受け、中田様もテスト受験されたとのこと。「特性がわかりやすく可視化され、人物タイプが5種類に分類されます。自分で『確かに』と感じる点が多く、同僚も『わかります』という反応でした。分析精度の高さが、過去の受験者280万人以上のビッグデータに基づいていると聞き、安心感を覚えました」と中田様。
「私も2022年に高橋さんの講演を聞きました」と永田様。「デジタルツールだけでなく、組織を動かすスキルが必要だと話されていました。適性検査とそこに紐づく研修に魅力を感じ、発注を決めました」と語ってくださいました。
・エン・ジャパンの適性検査「Talent Analytics」をDX部門で導入。
・適性検査の活用方法とDXとの関係性を理解する対面研修も実施。
└同社にて、2024年11月に2日間の対面ワークショップを開催。
└1日目は「管理職向け」、2日目は「メンバー向け」の実施です。
適性検査『Talent Analytics』では、人材タイプを5つに分類可能
「研修は非常に盛り上がり、安心しました」と中田様。「適性検査導入には賛否がありました。『人物特性を科学的に分析できるのは魅力』だが、『テスト結果でその人の評価が決まってしまうのでは』という不安の声もあったのです」。
「その不安を、研修で講師の吉田さんが丁寧にほどいてくれました。適性検査でわかるのは特性であり、特性がプラスに働くと『強み』となり、マイナスに働くと『弱み』になる。適材適所が大事である。受講者のみなさんも安心し、ご自身や同僚の結果を見せあい、活発に議論していました」と中田様。
適性検査『Talent Analytics』はトライアル導入であり、受験者20名。研修1日目の「管理職向け」は8名が参加。2日目の「メンバー向け」はメンバー+一部の管理職の方で合計9名がご参加。「管理職が自分の特性を理解し、特性が真逆のメンバーに『あの時は負担をかけていたかもしれない』とお詫びされるシーンもありました。恣意的ではない科学的なデータに基づき、管理職とメンバーの相互理解も深まりました」と永田様。
ワークショップ当日は模造紙に議論や意見を書き出していただきました。
・研修のオープニング
・DXの基礎やDX人材のスキルを丁寧に説明
・適性検査の意味と活用方法をレクチャー
同社は2024年11月に2日間、「適性診断を用いたDX推進ワークショップ」を実施。「適性検査と研修を両方実施して本当によかったです」と中田様は語ってくださいました。
「研修は『DXとは?』という基礎からはじまり、受講者の目線を揃えながら『どういう人が向いているのか?』を参加者同士が議論。『デジタルに強い人だけでは足りない』という結論に自分たちでたどり着き、適材適所の重要性をみんなで理解できました」とのこと。
DXプロジェクトの立ち上げには「企画力のある人」が必要。一方、立ち上げに強い人は軌道に乗ると飽きる。「運用に強い人」が必要になる。こうした議論がワークショップで交わされました。「過去や現在のプロジェクトを想定しながら適材適所を議論できた。『こういう任せ方が必要なのか』と管理職が学びを得ていました」と永田様も語ってくださいました。
「研修後の社内アンケートでは満足度(理解度)が非常に高く、受講者視点で意義ある取り組みだったとふり返っています。また、セルフスターターやコメンテーター、フォロワーという言葉が、受講者の『共通言語』になっています」と中田様。
適性検査『Talent Analytics』では、人材タイプを5つに分類可能です。「これまで大事なミッションを任せる時は、役職や職位、過去の経験を踏まえて判断していました。成果を出すには経験や能力だけではなく、向き不向きという『特性』も大切です。彼はセルフスターターだからプロジェクト立ち上げに活躍してくれそうだ、という会話が交わされるようになりました」と中田様は語ってくださいました。
「DXに限らず、業務全般でも適性検査の結果を活用しています」と永田様。「たとえば、これまで管理職は『方針を考えてほしい』とだけ指示していました。メンバーの特性を踏まえると曖昧な指示で動けるタイプと、詳細を把握して動きたいタイプがいます。能力ではなくタイプの観点で部下を見て、仕事の任せ方やコミュニケーションを変える管理職が着実に増えていますね」と語ってくださいました。
「適性検査という科学的データに基づいて、人の特性を見て、仕事を任せる。これは企業文化が変わるきっかけになるかもしれません」と中田様は語ってくださいました。
「この取り組みをはじめるとき『適性検査で人の評価がすべて決まっていいのか?』と不安を感じていた管理職もいました。実際は少ないやり取りからメンバーの特性を推測し、主観的な評価で仕事を任せていました。『Talent Analytics』では人物特性がわかり、ストレス耐性等も可視化されます。どこまで仕事を任せていいかが判断しやすくなり、管理職も仕事がしやすくなっています」とのこと。
今回の適性検査導入はトライアルであり、2025年度のDX人材育成プランにつながっているそう。「これまでのDX人材育成は研修重視でした。その前に『知る』というステップが必要だと、今回の取り組みで検証できました。本人が自分の特性を知る。上司がメンバーの特性を知る。客観的な分析結果に基づき、自己理解と相互理解を深めることで、『向いている人が得意なことに挑戦する』数を増やしていきたい」と中田様は語ってくださいました。
「DX人材には、ビジネス変革スキルも必要だ」と永田様は語ってくださいました。「今回、エンさんに支援を依頼する前に、エンさんとサイボウズ社で共同執筆した『DX人材育成ガイドライン』も確認しました。DX人材にはD(デジタル)スキルと、X(組織変革)スキルが必要である。『Talent Analytics』の結果は、X(組織変革)スキルにつながる部分もあります。コンセプチュアルスキルなど、Xスキル研修も検討していきたい」とのこと。
DX人材育成には「デジタル」だけでは足りない。デジタル領域と人材領域が絡んでおり、そこにエン・ジャパンが40年以上培ってきたHRのノウハウが役に立つ可能性がある。そのことを実感したインタビューとなりました。
公開日:2025年6月9日