情シスの人材育成でも、kintoneは教材になる。

株式会社神戸製鋼所

本社|兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通2-2-4

設立|1911年6月28日

社員|単体11,534人(2024年3月31日現在、出向者を除く)

業種|鉄鋼

事業|鉄鋼アルミ、素形材、溶接、機械、

   エンジニアリング、建設機械、電力

HP   |https://www.kobelco.co.jp/

▼イントロダクション

兵庫県神戸市に本社を置く、株式会社神戸製鋼所。創立は1905年であり、100年以上の歴史を誇る鉄鋼メーカーです。現在は鉄鋼アルミ・素形材・溶接の「素材系事業」、機械・エンジニアリング・建設機械の「機械系事業」、さらに「電力事業」と3つの事業領域を柱とされています。


同社は「KOBELCOグループ全体のDX戦略」を策定し、DX人材育成や、ノーコード・ローコードツールを活用した業務効率化、データ蓄積・分析基盤の構築などのプロジェクトを進めています。DX戦略の中核を担う情シス部門の組織強化が急務となっており、エン・ジャパン[DXリスキリング]の「kintone研修」を導入されました。

導入部署であるIT企画部の今井様 

今回、「エン・ジャパンDXリスキリング 」導入部署であるIT企画部の今井様にお話をうかがいました。ご自身もkintoneアプリ開発を手がけ、ユーザー事例発表会「kintone hive」にも登壇経験のある今井様。「研修受講者の満足度は90%以上で、ノーコードツールやシステム開発の理解度が一気に上がりました」と語ってくださいました。

▼事業上の課題|kintone研修が必要な理由は?

「グループ全体のDX実現には、情シスメンバーのベースアップが急務でした」と今井様。


同社は連結従業員3万8000名を超える企業グループであり、現場の業務改善から、全社を支えるIT基盤の刷新まで、多様なDXプロジェクトが進行中。情シス部門に寄せられる期待も高まっています。情シス部門の全従業員の底上げを図るべく、2024年度、IT部門の人材育成カリキュラム KOBELCO IT division/talent Transformation(KOBELCO IT組織/人材変革)” を策定されました。

そのカリキュラムのひとつが「ノーコード開発の理解」。利用ツールにkintoneが選定されました。同社は市民開発を推進し、現場でのkintone活用事例も増えつつありました。こうした変革をリードすることも情シス部門の役割。「これはkintoneで進めよう」「この課題だとスクラッチ開発がいい」と適切に判断するためにも、ノーコードでできること/できないことを理解する必要があったのです。

▼導入の決め手|エン・ジャパンに決めた理由とは? 

「ユーザー部門でのkintone活用経験に基づく研修が魅力でした」と今井様は語ってくださいました。「私たちにとってkintoneは道具のひとつ。現場の課題に応じてRPAや生成AI、ノーコードを選定できる人材を育てたい。エンさんはくり返し、『kintoneは万能ツールだと思っていません』と話されていました。課題を整理して道具を選ぶ、その考え方を学べると感じたのです」。


研修を外部委託した背景に「視野を広げる」意図もあったそう。


「kintone研修は内製できるのでは、という議論もありました。一方、社内しか知らない人が研修を作ると知見が『自社』に留まり、我流の域を超えません。特に今回はトヨクモ製品やkrewシリーズも含めたハンズオン研修を検討していました。自社でゼロからの研修構築は難しく、オーダーメイドで研修を組んでくれるエンさんに依頼しました」と今井様は語ってくださいました。

▼具体的な支援|kintone+トヨクモ製品+krewシリーズの研修

・エン・ジャパン[DXリスキリング]で「kintone基礎+実践研修」をご提供。

・エン・ジャパンで内製し、社内外で100名超が受講した研修。(全体像は以下)

・研修は対面での3日間。ハンズオン中心の研修カリキュラムです。

・受講者は9名。研修終了後も、ゲストスペースで1ヶ月間フォローしました。

研修カリキュラムの全体像

▼サービス内容|エン・ジャパンの研修を受けた率直な感想は?

「初日から期待通りでした。業務改善アプリをどの順番で考え、設計していくのか。基本を丁寧に説明しつつ、初心者がつまずきやすい急所を的確に押さえており、最短距離でノーコード開発をマスターできるカリキュラム構成でした」と今井様は語ってくださいました。


研修は3日連続。1日6時間という長丁場であり、淡々と機能説明だけをしていると、どうしても飽きてしまいます。「クイズを入れたり、エンさんの社内の実例も紹介されたり、メリハリもあって受講者は集中して取り組んでいましたね」と今井様。

また、アプリ開発のベースとなる考え方にも魅力を感じたそう。「エンさんの研修内では、マスターデータやキーコードなど、データベースの基礎を学べるにようになっていました。情シス部門は専門分野が幅広く、メンバー全員がアプリ開発やデータベース構築に携わっているわけではありません。kintoneアプリを構築しながらデータベースの理解が進み、まさに人材の底上げにつながったと感じています」と今井様は語ってくださいました。

2人1組でアプリ課題に取り組むみなさんの様子

▼実際の成果物|kintoneの製品画面

・研修で利用した教材アプリの構成

研修資料 

・業務改善と業務改革の違いを学ぶ研修

▼導入後の成果|研修直後から行動変容が見られる。

同社では2024年8月に3日間のkintone研修を実施。kintoneの基礎からはじまり、トヨクモ製品(フォームブリッジ、kViewer)やメシウス製品(krewSheetやkrewDashboard)にもチャレンジ。最終日は「現場からの開発依頼に基づき、アプリを開発する」という実践研修に取り組んでいただきました。


── アプリ作成ではデータの単位や粒度を意識して作成しはじめることが重要ということ。リリース後の管理・運用を見すえて「アプリ設計」を意識しなければならないこと。アプリ作成だけでなくエンさんの「運用を踏まえたコツ」が聞けたのがよかったです。


── 全般的にスケジュール・題材等が非常にしっかりしており、研修を受ける側として安心して受講できました。作成すべき課題の題材が具体的で、お手本アプリもしっかりしている点が特に良かったです。kintoneのできること・限界のラインが掴めた気がします。


── かなり疲れましたが非常にタメになる研修でした。1人で3日間kintoneを触ってもここまで理解が進むことはなかったと思います。説明が非常にわかりやすく、理解できました。ここまで頭と手を同時に動かし続ける研修は初めてで、参加して良かったです。


── トヨクモ・krewシリーズ研修で「あれ?これできない!」的な不手際がほぼなく、すごいと感じました。私は社内研修の担当です。入念に教材を準備しても検討モレがあったりするのですが、今回の研修ではほぼそうした場面がなかったので見習いたいです。

▼具体的な変化|参加者の行動はどう変わったのか?

今回の研修では受講者1名あたりkintoneアプリを10個、フォームブリッジを使ったWebフォームを3個、kViewerを使ったWebページを3個、構築していただきました。krewSheetは条件付き書式や関数を体験し、krewDashboardでは5個のグラフを作成。合計9名参加されたので、実際に生み出されたアプリ数は90個に上る計算になります。


「受講者からは『アプリの大量開発は大変だったけど、ためになった』という感想をもらっています。私の後任も『今井さんから教わった断片的なことが、今回の研修でつながりました』と喜んでいましたね。自分でアプリ開発を体験して、ユーザー部門の相談にも自信を持って回答してくれています」と今井様。


「研修満足度が高く、ノーコード開発の解像度が一気に上がりました。kintoneや主要なプラグイン・関連サービスを体験し、アプリを使う『ユーザー視点』もエンさんの実例を通じて学べました。生成AIやRPA、kintone、そしてExcelという道具を、どう使い分けるかもグループディスカッションを通じて理解を深めてくれました」と今井様は語ってくださいました。

▼今後への展望|リスキリングを通じて見えてきた未来。

「今回のような集中型ハンズオン研修は、今後も継続したい」と今井様は笑顔で語ってくださいました。


「研修でkintoneの理解度が一気に上がったのは、集中して手を動かしたから。『このアプリを30分で作りましょう』とお題を出され、アプリ構成を考えてカタチにする。その直後に模範解答と解説を聞く。ハンズオンの効能を実体験しました」とのこと


またエンがkintoneのヘビーユーザーであることも、受講者満足につながっているそう。「受講者アンケートで『事業会社で実務としてkintone開発をしてきたエンさんの話は説得力が違う。アプリ開発のコツも、すごく腑に落ちた』という声もありました」と今井様。


今回の研修は情シス部門が対象でした。現場の市民開発者(kintone開発者)にも同様の研修を実施するか、今後のご検討いただけるとのこと。


「受講者には社内のkintone研修担当もいました。『現場ユーザーにもぜひ受けてもらいたい』とアンケートに書いていましたね。エンさんの研修を受けて、カリキュラムやコンテンツ、質疑応答など自社研修に取り入れられる部分と、『やはりプロは違う』と感じる部分があったようです」と今井様。


同社ではユーザー部門でのkintoneアプリ開発が広がっているそう。サイボウズ主催のkintone事例発表会(kintone hive)には同社建設技術部の方が登壇され、kintone事例記事には溶接事業部門の方が登場されています。「意志ある人がkintoneに取り組んでいます。その熱を支えられるよう、IT部門として研修で学んだkintone知識を活かしていきたいです」と今井様は語ってくださいました。


現場を支える情シス、その人材育成において「kintone」が教材になる。ノーコードツールの可能性を実感したインタビューとなりました。


公開日:2024年1030