関西電力株式会社
本社|〒530-8270 大阪市北区中之島3丁目6番16号
設立|1951年5月1日
社員|8,416名(グループ全体:31,437名)
業種|電気・ガス業
事業|電気事業、熱供給事業、電気通信事業、ガス供給事業 等
大阪市北区中之島に本社を置く、関西電力株式会社。大手電力会社であり、電気やガスなど生活に欠かせないライフラインの担い手です。2021年には営業本部等を統合し、「ソリューション本部」を設置。電力だけに留まることなく、顧客視点での新たなサービス開発・販売に取り組んでいます。
ソリューション本部は「電気・ガス等のエネルギーや各種ソリューションを通じたお客さまへの価値の提供」をミッションとしています。基幹システムでの対応が難しい業務のシステム対応や、新規事業の事業管理システムにkintoneを活用しています。2018年からkintoneの内製開発を、2023年からは市民開発もスタート。このノーコード開発体制を強化するため、エン・ジャパン[DXリスキリング]をご導入いただきました。
導入部署である業務改革チームの前田様
今回、[DXリスキリング]導入部署であるソリューション本部システムグループ業務改革チーム副長の前田様にお話をうかがいました。現在(2025年5月インタビュー時点)では、グループ内で「業務改革の共通言語」が根付いてきたとのこと。「チーム内に一本軸が通り、ミーティングの発言も大きく変わりました」と語ってくださいました。
「自分たちでできることの限界に直面していました」と前田様はふり返ってくださいました。前田様の所属するシステムグループは、ソリューション本部内のシステム部門。基幹システム開発を担っています。このグループ内のkintone開発担当が業務改革チームです。
「基幹システムは柔軟に変更できないため、業務効率化や新サービスに必要な仕組みをkintoneでクイックに開発しています。ただ、用途拡大に伴う要件の高度化によりアプリは徐々に複雑化。手戻りや開発期間延長が増え、要件定義のスキルアップが必要だったのです」とのこと。
また同社では2023年から市民開発をスタート。ソリューション本部の業務部門の社員がノーコード開発に挑み、1年で約30個のアプリが稼働したそう。「さらなる拡大には、市民開発者用の開発ガイドラインや研修の拡充が必要でした」と、前田様は語ってくださいました。
「きっかけはエンさんのDX人材育成ワークショップへの参加でした」と前田様。
「大手企業向けのワークショップです。エンさんの社内事例を聞きながら、kintone開発者を含めたDX人材に必要な知識・スキルを考え、大手企業同士で議論する場でした。私たちの自社課題も整理でき、『足りないのはこの知識だ』と納得して、エンさんへの支援依頼を決めました」とのこと。
また、エン社内でのkintone推進経験も魅力だったそう。「私たちが直面していた課題は、kintone開発に関わる要件定義や市民開発です。私たちより先にkintoneを導入した先輩企業は同じ壁に直面し、乗り越えているはず。実体験に基づくノウハウを吸収するのが一番の近道です。サイボウズさんからも『エンさんはお薦めです』とお墨付きをもらい、相見積もりは取らず即決しました。『質』が決め手ですね」と前田様は語ってくださいました。
・エン・ジャパン[DXリスキリング]ではDX人材基礎研修+伴走支援をご提供。
・5ヶ月間、研修や定例会議を通じてスキルアップとノーコード体制強化をご支援。
・DX人材基礎研修はオンラインに加え、1日6時間の「要件定義」対面研修も実施。
・関西電力内の市民開発を支援するため、成果発表会の「審査員」も務めました。
研修から伴走支援まで、5ヶ月間のご支援の全体像
「一言でいうと『すっと入ってくる』感覚ですね。机上の空論ではなく、実体験に基づく説明がわかりやすかったです」と前田様。
関西電力へのご支援は、DX人材基礎研修からのスタート。問題解決技法やプロジェクト管理の基礎を学ぶオンライン研修です。「研修の題材が、私たちが直面している課題そのものでした。起きている問題と、解決策となる理論、エンさんの社内事例をミックスして解説していただきました。経験者の言葉は説得力があり、研修会社の講師とは全然違いました」とのこと。
本研修は業務改革チームだけではなく、システムグループ全体(30名以上)で受講されました。「期待以上の研修で、それは受講者のアンケートにも表れていました。普段の研修の感想とは、書かれている量が圧倒的に違う。研修の回を追うごとに質問や相談も増えていました。今、本当に悩んでいることをみんなエンさんに相談していました。実践的な研修であり、経験に基づく助言を聞けるからこそ、受講者の満足度も高かったのだと思います」と前田様。
講義内容について質問をくださった道満様(システムグループ 部長)
・伴走支援の様子(ロジックツリーで現状を整理・分析)
・要件定義研修の講義資料(組織間の対立を考えていただきました)
・市民開発者の成果発表会(エンが審査員として参加)
同社では2024年11月から2ヶ月間、エン・ジャパンのDX人材基礎研修を受講。その後、kintone開発伴走支援もスタートしています。
「研修や伴走支援で『哲学』を教わりました」と語る前田様。「大きな変革を進めるには現状を否定し、あるべき姿を描かなければならない。『言われたものをカタチにする』開発者思考から抜け出し、メンバーから業務改革視点での発言が増えました」とのこと。
総仕上げとなった要件定義研修。「発見が多かった」と前田様は語ってくださいました。「私たちは要件定義の技術=ドキュメント作成と決めつけていました。本当に大事なものは、もっと奥にあった。依頼主と開発者がどう対話し、共通ゴールを設定するか。ヒアリングスキルや自己理解の視点を学び、ディスカッションを通じてグループ内の共通言語ができました」とのことでした。
今回のご支援では、システムグループや業務改革チームのスキルアップに加え、市民開発体制強化もテーマでした。エンとの定例会議を通じて「やるべきことが明確になった」と前田様は語ってくださいました。
「kintone開発も、市民開発も、すべてが手探り。マニュアルを整備しているものの、私たち以上にkintoneに詳しい人が社内にいない。壁打ち相手がいなかったのです。エンの高橋さんと関西電力のkintone活用をふり返り、交通整理ができました。たとえば、専門部隊である業務改革チームが担うアプリ群と、市民開発に委ねるアプリの線を引く。あわせて今のマニュアルを分解し、『市民開発者の簡易ガイドライン』を作ることも決めました。自社の課題を相談し、エンさんや他社の事例を教わり、確信を持って判断できました」とのこと。
伴走支援の一環で、市民開発者の成果発表会にエンが審査員として参加しました。「エンさんの助言は表層的なアプリの作り方ではなく、一歩踏み込んだ考え方や姿勢でした。業務改善の着眼点や、持続可能なアプリの作り方など、発表者も刺激を受けていました」と前田さんはふり返ってくださいました。
「わかりあうことを諦めていたのかもしれないと、気づかされました」と、前田さんはふり返ってくださいました。
「関西電力ソリューション本部は社員だけでも数千名が所属する大きな組織です。縦割りになりやすく、アプリ開発側と依頼主で意見が対立することもある。『システム側として要件定義を徹底する』という発想に縛られていました。エンさんの研修を通じて、対話の大切さや、相手の本音を引き出すスキル、共通ゴールの設定方法を学びました。もっと良くできる余地があると自信を持てました」とのこと。
また研修は「費用以上のリターンがあった」と語る前田様。「関西電力は社員教育が整備されており、みんな研修に慣れています。その中でもエンさんの研修後アンケートは、異常なぐらい多くの感想や質問が寄せられました。要件定義研修は最初、業務変革チームだけの予定でしたが、『私も受けたい』と応募が殺到し、グループ全体で受講することになりました。1日をかけて『要件定義』を語り合い、共通言語ができたことが大きな収穫でした」とのこと。
今後の展望として「今回学んだ哲学や技術を『仕組み』に落としていきたい」と前田様は語ってくださいました。「関西電力は社員育成の観点で、異動が頻繁にあります。数年ごとに人が入れ替わる。ノーコード開発は今後も、会社に必要な機能です。誰がシステムグループや業務変革チームに異動してきても、すぐに正しい考え方でアプリを開発できるようにしたい。そのために思想や哲学をマニュアルに組み込み、その通り対応すれば、自然と『正しい考え方ができる』という状態にまで昇華したいです」とのこと。
ノーコード開発も市民開発も最先端領域です。新規事業やマーケティングのようにセオリーが確立しているわけではない。だから「一歩先にkintoneに取り組んできたエンの実体験」がお役に立つのだと、再認識したインタビューとなりました。
公開日:2025年7月11日