研修が、kintone市民開発者の心の火をつけた。
阪急阪神不動産株式会社
本社|大阪府大阪市北区芝田一丁目1番4号 阪急ターミナルビル内
設立|1947年2月17日
社員|約950名(2024年3月現在)
業種|不動産業
事業|住宅関連事業、不動産賃貸事業、
不動産開発事業、まちづくり事業、海外事業 など
HP |https://www.hhp.co.jp/
▼イントロダクション
大阪府大阪市に本社を置く、阪急阪神不動産株式会社。阪急阪神ホールディングスグループの中核を担う、総合不動産デベロッパーです。100年以上の長きにわたり、阪急・阪神沿線や大阪梅田エリアでの都市開発事業、また、分譲マンションを始めとした住宅事業等を展開されています。近年は、沿線開発で培ったノウハウを最大限に活かし、首都圏エリア、また、海外では、アジアを中心に、オーストラリア、アメリカなどへも事業エリアを拡大されています。
同社は独自のDX推進戦略を策定。2023年4月に全社員に公表。事業部門の人材がデジタルを学び、「ビジネスデジタル人材」にシフトする。その武器に選定されたのが生成AI、RPA、ノーコードツールのkintoneでした。2023年に生成AI研修をスタート。そして2024年、事業部門の市民開発を加速させるためエン・ジャパン[DXリスキリング]の「kintone研修」を導入されました。
導入部署であるDX推進部 課長の清家様
今回、「エン・ジャパンDXリスキリング 」導入部署であるDX推進部の清家様と、和田様にお話をうかがいました。7月のkintone研修以降、参加した市民開発者のkintone開発が活性化しているそう。「研修中も質問や相談が殺到し、私たちも初めて見る光景でした。『今までで一番素晴らしい研修です』というメンバーもいました」と語ってくださいました。
▼事業上の課題|kintone研修が必要な理由は?
「市民開発者が少しずつ増えているものの、停滞感を感じていました」と清家様。
同社では2022年のkintone導入以降、DX推進部の予算でトヨクモ製品、krewシリーズ、gusuku Customineも導入。現場から「ビジネスデジタル人材」を輩出するため、「やってみたい」という市民開発者が安心して挑戦できる環境を整えてきたのです。
一方、同社がめざしているのは「現場部門が業務改善をできる状態」です。kintoneはその手段のひとつ。業務改善の考え方を理解し、目的に応じてkintoneや関連サービス、プラグインを選び、組み合わせられる人材を育てたいとお考えでした。DX推進部の人員も限られ、自社で研修を内製化することは難しい。kintoneの強みは「エコシステム」であり、kintone研修を託せるパートナーを探されていました。
▼導入の決め手|エン・ジャパンに決めた理由とは?
「現場を意識した研修カリキュラムが魅力でしたね」と清家様。「市民開発者はエンジニアではありません。開発者の思考を過度に押しつけたくはない。エンさんは事業部門でkintoneを活用し、そのノウハウを研修にしています。どういう考え方で業務改善を進めるか。思考プロセスから教えてくれると感じました」。
また同社はガバナンスの観点で、無料プラグインの利用を禁止。「使うなら、トヨクモ製品、krewシリーズ、gusuku Customine」という方針を掲げています。
「こうした主要ツールも、kintoneと一緒に学んでほしかったのです」と和田様が語ってくださいました。「まずはkintoneの標準機能をしっかり使う。必要なら今の業務も見直す。その上で足りない機能があれば主要ツールを使う。こうしたカリキュラムを、エンさんはオーダーメイドで組んでくれると感じ、発注を決めました」。
▼具体的な支援|kintone+トヨクモ製品+krewシリーズの研修
・エン・ジャパン[DXリスキリング]で「kintone基礎+実践研修」をご提供。
・エン・ジャパンで内製し、社内外で100名超が受講した研修。(全体像は以下)
・研修は対面での2日間。月曜に研修をし、課題を出し、翌週月曜に研修を実施。
・受講者は17名。研修期間中や一部終了後も、ゲストスペースでフォローしました。
研修カリキュラムの全体像
▼サービス内容|エン・ジャパンの研修を受けた率直な感想は?
「kintoneは手段であり、目的ではない。こうした考え方から受講者が学べるカリキュラムでした。」と清家様は語ってくださいました。
現場によくある顧客管理の課題を、どうkintoneで解決するか?すぐアプリを作るのではなく、まずデータベースの構造やキーコードを考える。その上で実際に手を動かしてアプリを開発するカリキュラムでした。「Excelだとキーコードなどをあまり意識しません。一方、システム開発には欠かせない視点です。こうした基礎から受講者が学んでくれたのは大きかったですね」と清家様。
和田様は「『万能なDXツールはあるのか?』というグループディスカッションも印象的でした」と語ってくださいました。「改めて聞かれると、kintoneや生成AI、RPA、Excelの使いわけを深く考えたことのある人は少ないです。それぞれのツールの強みや弱みを自分なりに考え、参加者同士で議論する。このプロセスを通じて、道具を使いわける視点を受講者が学んでくれていました」。
導入部署であるDX推進部の和田様。今回のkintone研修の事務局を務めてくださいました。
▼実際の成果物|kintoneの製品画面
・研修で利用した教材アプリの構成
・主要ツールの理解を深めるディスカッションの資料
・研修風景(対面実施)
▼導入後の成果|研修直後から行動変容が見られる。
同社では2024年7月に2日間のkintone研修を実施。アプリ間連携やプロセス管理、アクセス権、通知などを学びつつ、トヨクモ製品(フォームブリッジ、kViewer)やメシウス製品(krewSheetやkrewDashboard)にもチャレンジ。実際に自分の手でアプリを構築していただきました。
── 初心者向けの実践メニューがよかったです。「触りたい」「動画を見ないと」と思いつつ、kintoneに「触る」時間をとれずにいました。今回で基本機能を網羅的に学べました。3分クッキングのようにメリハリのあるカリキュラムで、アプリの複製やデータ読み込みなども実体験。初心者でも取り残されないようフォローしてもらえました。
── とても有意義な2日間でした。今まさに「kintoneのここを知りたい」「ここを触ってみたい」という機能(ルックアップ)やプラグイン(krewシリーズ)を手を動かしながらアクティブに学べました。ツールの選定も多くの学びや発見があり、ExcelでよいものはExcelで、複数人でデータをきっちり残したいものはkintoneを利用します。
── ひとつひとつのステップを丁寧に研修いただき、疑問点等についても適宜お答えいただきました。「わからないまま進む」ということがありませんでした。単純なkintoneを扱う技能ではなく、「なぜkintoneを活用するのか」という必要性を、エンさんの事例を交えながら共有していただき、自らの立場に置き換えて理解しやすかったです。
▼具体的な変化|参加者の行動はどう変わったのか?
今回のkintone研修では受講者1名あたりアプリを7個、フォームブリッジを使ったWebフォームを1個、kViewerを使ったWebページを1個、構築していただきました。krewSheetは条件付き書式や関数を体験し、krewDashboardでは4個のグラフを作成。合計17名参加されたので、実際に生み出されたアプリ数は68個に上る計算になります。
「参加者が、非常に積極的に取り組んでくれましたね」と清家様。「研修当日はもちろん研修終了後のフォロー期間も、受講者がエンさんにたくさん質問や相談をしていました。他の研修ではあまり見られない光景で、非常に驚きました」。
研修後の具体的な変化として、アプリ開発数やプラグイン利用申請数が如実に増えたとのこと。「『部内にkintoneを広めたいので、アプリ開発がしたい』『krewDashboardをこのアプリに設定したい』『gusuku Customineを使ってみたい』という相談が増えています。研修でプラグインや関連サービスに直接触れて、実際にアプリを作ったことで、理解が深まったのだと思います」と和田様は語ってくださいました。
▼今後への展望|リスキリングを通じて見えてきた未来。
「市民開発者(ビジネスデジタル人材)のやる気に火がついてきました。ここを加速していきたいですね」と和田様は笑顔で語ってくださいました。
「ノーコード開発ツールとしてのkintoneの社内推進は、計画通りに進んでいます。まずは希望者が安心してアプリを作れる環境を整備。主要プラグインや関連サービスを費用の心配なく触れるようにしました。意志ある人がプロの講師から学べる機会もつくりました。結果、現場発のアプリが増えており、アプリの棚卸し等が本格的に必要になってきました。これも、市民開発が進んでいる証拠です」とのこと。
今後の展望として「kintoneや生成AI、RPAに取り組む人の認定制度を整えたり、社内でのkintone事例発表会などを企画したりしたい」と清家様は語ってくださいました。
「市民開発者同士のネットワーキングも大事です。そうした交流のなかから市民開発者同士が刺激を与えあい、『もっと勉強したい』と出てくれば、またエンさんに研修をお願いするかもしれません。弊社は東京にも事業所があり、『東京での研修や交流会はないのですか』という要望も来ています。『自由に作ってもらう』最初のステージはクリアできましたので、次の段階を考えていきたいですね」とのこと。
大規模組織において市民開発者がどう生まれ、どう育っていくのか。アプリ開発者の心に火を灯すために、どういう刺激が必要なのか。同社で進むDX人材育成のプロセスを、追体験するインタビューとなりました。
公開日:2024年10月8日