DXに必要なマインドが醸成され、アプリ開発が加速した。

株式会社オートシステム 


本社|福岡県福岡市西区拾六町2- 2-28

設立|昭和59年3月15日

社員|183名

業種|製造業

事業|ワイヤーハーネス・医療機器・福祉機器・自動機械の開発設計、製造販売

HP   |https://www.auto-system.co.jp/

▼イントロダクション

福岡県福岡市に本社を置く、株式会社オートシステム。1984年創業の総合メーカーで、ワイヤーハーネスやレントゲン撮影台等の医療機器、自動機器等の装置事業も展開しています。2018年に経済産業省から「地域未来牽引企業」に選定されており、地域経済の中心的な担い手となる企業です。


同社のシステム部で2020年にノーコードツール「kintone」を導入。さらなるDX推進のため、2023年4月から社内研修プロジェクト「ASC(オートシステムカレッジ)」を立ち上げ、市民開発者(kintone開発者)を増やすことに。外部講師/アドバイザーとして「エン・ジャパンDXリスキリング」をご利用いただきました。

社内研修プロジェクト「ASC(オートシステムカレッジ)」を統括している熊本様

今回、「エン・ジャパンDXリスキリング」導入部署である事業推進部兼システム部を統括している熊本様(部長)にお話をうかがいました。現在(2024年7月時点)では、kintone開発者が27名に増え、235以上の業務改善アプリが作成されているとのこと。「DX人材のベースとなるマインドが、エン・ジャパンさんの研修で醸成されました」と語ってくださいました。

▼事業上の課題|DXやDX人材育成が必要な理由は?

「DX推進は、マインドも含めた会社の変革を進めるためでした」と熊本様。同社では2018年に代表取締役社長が変わり、「製造工程でのIoT機器やRFIDの活用」などデジタル活用や変革を積極的に進めていました。ノーコードツール「kintone」の導入も、その一環です。


たくさんの変革を進めていきたい。一方、新規に導入するシステムも現場から一部「使いづらい」「続かない」などの声が出ていました。またkintone開発はシステム部が担っており、アプリ開発者が足りない状況に。この2つの課題を解決するため「アプリを使う人が必要なものを自分たちでつくる」という方針を掲げ、社内研修プロジェクト「ASC」を立ち上げられました。


デジタル活用は手段であり、「業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革する」ことをオートシステムのDXと定義し、研修準備を進められていたのです。

▼導入の決め手|エン・ジャパンに決めた理由とは? 

「社内研修制度は、エン・ジャパンさんがモデルケースでした」と熊本様。「ノーコードツールであるkintoneを教材として、社内DX人材育成を進める。このエンさんの事例が、DX人材育成を調べるなかで目がとまりました。ご縁があって、エンさんにご支援をお願いできる可能性が見えたときは非常にうれしかったです」。


もともと同社では外部講師を招く文化がなく、社内研修も自社で運用していました。ただ、社外の刺激を取り入れる「越境学習の観点」も重要と考えられていました。


エン・ジャパンとの接点をキッカケに「外部のチカラを借りる」という方針に転換。「エンさんは登壇や発信、受賞実績があり、信頼できました。加えてエンさんの『HRの知見に基づくDX推進』や『kintoneを活用したDX人材育成』は珍しく、相見積もりなどはとらず、エンさん一択でお願いしました」と熊本様は語ってくださいました。

▼具体的な支援|DX講演、問題解決研修、DX人材育成の伴走支援

・エン・ジャパン[DXリスキリング]では「DX人材育成」をトータルにご支援。

・まず、経営層や管理職層も含め、現場DX人材向けの「DX講演」を社内で開催。

・次に、DX人材の基礎となる「問題解決+プロジェクト管理研修」を実施しました。

 ※1回90分(講義60分+質疑応答30分)を全4回のオンライン研修

・その後もDX推進組織と定例会議を開き、必要な研修を都度企画・実施しました。

「問題解決+プロジェクト管理研修」の全体像

▼サービス内容|エン・ジャパンの研修を受けた率直な感想は?

「最初のDX講演から『ストロークの大切さ』など、今までオートシステムになかった『概念』を導入してくれました」と熊本様は語ってくださいました。


ストロークは心理学用語で、語源は「なでる」です。子どもが両親になでられて安心するように「存在を認める働きかけ」を意味します。「弊社は歴史ある製造業で、上司部下は徒弟制のコミュニケーションでした。DXは未知の挑戦で、上司も経験に基づいた助言ができず困っていました。高橋さんのDX講演を通じて『ストロークの大切さ』を知り、経営層や管理職もDX人材との接し方のヒントを得てくれました」と熊本様。

「DX講演」や「問題解決+プロジェクト管理研修」は、同社のDX人材候補である27名を中心に管理職や経営者の方も一緒に参加されました。経営層から現場社員まで「同じ講義をともに学ぶ時間」を過ごすことで、ストロークなどの概念を理解され、それが組織の「共通言語」になっていったとのこと。「今まで知らなかった」「もっとエン・ジャパンさんから学びたい」と、受講者のみなさんが楽しんで研修に参加されていました。

代表の徳安様「一番印象に残っているのが『だから良いんだ』という考え方です。一見マイナスのことも、プラスの側面に着目する視点が、非常に心に響きました。」

▼実際の研修内容|研修資料や質疑応答の様子

オンライン研修の様子

社内研修プロジェクト「ASC」の最終報告会の様子

※各チームが取り組みを発表→弊社からアドバイスを、全チーム分実施しました。

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エン・ジャパンの高橋です。私から2点お伝えしたいことがあります。


まず「最初はExcelで解決策を探った」という点も素敵です。kintoneは業務改善やDX推進の道具でしかありません。私は道具選びを、よく料理にたとえます。料理で「万能包丁1本あればいいのか?」というと、目的に応じては出刃包丁が必要なことも、パン切り包丁が便利なこともあります。「盲目的にkintoneに走らない」ことは大事です。


次に「このままアプリを作ったら混乱する」と気づいて立ち止まったことが素晴らしいです。自分の思考を紙にかき出して整理し、「これをやる」と覚悟が決まってから手を動かす。アプリ開発に限らず、どの仕事にも共通する段取りだと思います。考えて悩みながら手を動かすと、思考がまとまらず、時間だけが過ぎてしまいますからね。

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・DX人材のみなさんと実際に構築された業務改善アプリ

▼導入後の成果|研修直後から行動変容が見られる。

同社では2023年5月に「DX講演」を、2023年5月~7月に「問題解決+プロジェクト管理研修」を実施しました。研修は個人ワークを取り入れ、参加者の考えをアウトプットしてもらい、エン・ジャパン講師(高橋)からアドバイスをする双方向コミュニケーションのあるスタイルでした。


「これまでシステム部でも問題解決やプロジェクト管理などの重要性は発信してきました。ただ、どうしても一方通行であり、組織に根づいていませんでした」と語る熊本様。


「今回はエン・ジャパンさん(外部の有識者)が概念を丁寧に解説してくれて、社内の共通言語になりました。問題解決やプロジェクト管理、PDCAとOODAループの違いなど、多くのことを学びました。『高橋さんの研修のあの話だよ』で話が進み、コミュニケーションスピードが確実に上がりました。問題解決は『製造工程の品質改善』など、本業にも活かされています」。


※研修の感想|品質管理担当のリーダー職の方より

「問題解決のプロセスは勉強になりました。 品質クレームの原因追究の大切さを改めて感じ、原因追究の前提として『問題の明確化と特定が必要』ということに気づかされました。以前は原因の追究から着手しがちでした。講義を受けてからは、まずは現象をしっかり調査してから原因追究に取りかかるようになりました」。


▼具体的な変化|参加者の行動はどう変わったのか?

同社の「定量的な変化」では、20代から60代まで27名のDX人材が生まれ、合計118個の業務改善アプリが誕生。たとえば、営業管理/顧客管理アプリや、工程管理アプリや、BIツール代わりのダッシュボード、経営管理アプリなどです。難しいアプリはシステム部がサポートに入りつつ、目指していた「使う人が必要なアプリをつくる」体制ができたそう。


「明らかに過去に比べて、社内の空気感が変わりました。『やってやろう』『アウトプットしてみよう』というマインドが醸成されており、結果的に活発にアプリ開発が進んでいます」と熊本様は語ってくださいました。


「研修では受講者の感想や質問に、エン・ジャパンさんから都度フィードバックをいただきました。これが刺激になっています。象徴的なのは2024年1月に実施した最終報告会です。DX人材候補が取り組んできたアプリについて順番に発表して、エン・ジャパンさんから『できていること』と『もっとできること』をその場でフィードバックしてもらいました。『自分たちの取り組みは価値がある』『もっとやってみよう』とDX人材候補がポジティブなマインドになっており、それが今も継続し、アプリの数も現在では235個にまで増えました」。

▼今後への展望|リスキリングを通じて見えてきた未来。

「DX人材育成は『正解』はなく、人や組織の状況にあわせてアジャイルで考えていく。ここの大切さを経営層と学ぶことができました」と熊本様は笑顔で語ってくださいました。


「2023年10月以降の伴走支援では、私たちDX推進チームと経営層、エン・ジャパンさんで定例会議を実施しました。今のDX人材候補の状況を共有しつつ、なんの知識やスキルが必要なのか?管理職はどう働きかけるべきなのか?経営視点を持ってもらうにはどうすべきか?DXは組織変革であり、ディスカッションをするなかで『人と組織の課題』にたどり着きます。エンさんはHR専業大手であり、その知見を踏まえて議論し、都度必要な研修を企画・実施していただきました。アジャイルでの人材育成支援はありがたかったですし、経営やDX推進チームとして『考える軸』を学ぶことができました」。


「今後はデータドリブンを進めていきたいです。2023年度のASCの取り組みを通じて社内でkintoneがフル活用されるようになり、kintone内部にデータがたまってきました。ここのデータを有効活用していきたいです。もちろん、DX人材もkintoneアプリもまだまだ増やしたいですね」。


「ただ、組織変革は時間がかかることも痛感しました。たとえば中間管理職の育成など、一部、エン・ジャパンさんに研修をしていただきました。『DXなどのプロジェクト型業務におけるメンバー育成のコツ』というテーマです。まだまだ検討すべきこと、実施すべきことが多いです。問題を正しく捉え、手順を踏み、有識者のチカラを借りれば変革が進むことはわかりました。じっくり腰を据えて取り組んでいきたいです」。


DX人材育成では、考え方やマインドの醸成も必要である。そこに対して、外部の有識者だからこそ伝えられること、発信できる刺激があることを実感したインタビューとなりました。

公開日:2024年925